『セッションではうまくいくのに、バンドになると人間関係が難しくなる理由』

さいたま~都内を中心に、バンド形式のコピー・セッションやライブイベントを開催するコミュニティ「ライブワゴンミュージック」です。

セッションでは楽しく演奏できるのに、バンドになるとなぜかうまくいかない。

これは、音楽を続けていると意外と起きることだと思います。

セッションでは、ほどよい距離感があります。その日、その曲、その場で集まって演奏し、終わったらそれぞれの日常に戻る。もちろん準備は必要ですし、人との関わりもありますが、関係性としては比較的軽やかです。

合わない部分があったとしても、その一回で終わることもできます。深く踏み込まずに済む。だからこそ、気楽に参加できるし、音楽そのものを楽しみやすい面があります。

ところが、バンドになると少し話が変わります。

同じメンバーで継続的に集まり、練習日程を決め、曲を決め、本番を目指し、連絡を取り合い、時には意見も出し合う。演奏だけでなく、関係性そのものを続けていく必要が出てきます。

つまり、バンドは音楽活動であると同時に、小さな人間関係の共同作業でもあります。

ここが、セッションとの大きな違いです。

セッションでは問題なく楽しめる人でも、バンドになると急にしんどくなることがあります。それは演奏力の問題とは限りません。むしろ演奏が上手い人でも、バンドという形になると難しさが出ることがあります。

理由のひとつは、期待値の違いです。

ある人は、ゆるく楽しくやりたい。ある人は、せっかくやるならきちんと仕上げたい。ある人は、本番に向けてしっかり練習したい。ある人は、居場所として安心して参加したい。ある人は、音楽的な完成度にこだわりたい。

どれが正しいということではありません。

ただ、その違いを確認しないまま始めてしまうと、最初は楽しくても、少しずつズレが出てきます。

最初の1、2か月は新鮮です。新しいメンバー、新しい曲、新しい目標があり、多少の違和感も勢いで進めます。

でも3か月、4か月と続いていくと、連絡のペース、練習への向き合い方、曲の好み、発言の仕方、温度差などが見えてきます。

そして半年くらい経った頃に、溜まっていた違和感が表に出る。

「なんとなく合わない」
「思っていた感じと違う」
「自分だけ負担が大きい」
「意見を言いづらい」
「このまま続けるのはしんどい」

そうなって、脱退や解散につながることがあります。

これは誰か一人が悪いというより、最初に関係性の設計ができていなかった、ということも多いと思います。

特に大人の音楽活動では、それぞれに生活があります。仕事も家庭も体調もあります。音楽に使える時間も違います。昔のように毎週何度も集まって、バンド中心の生活をするわけにはいきません。

だからこそ、大人のバンド活動には、大人なりの距離感が必要です。

仲良くなることは素晴らしいことですが、最初から距離を詰めすぎると、かえって苦しくなることがあります。音楽の好みが合うことと、人間関係として長く続けられることは、必ずしも同じではありません。

また、女性に多いように見えることもありますが、これは「女性だから難しい」という話ではありません。

人間関係の空気や温度差に敏感な人ほど、バンド内の違和感を早く感じ取ることがあります。男性の場合は不満があっても黙って続けたり、急に来なくなったり、別の形で表に出ることもあります。

つまり、性別の問題というより、違和感の出方や表れ方が違うのだと思います。

バンドは、セッションよりも人との距離が近くなります。だからこそ、向いている人、向いていない人が出やすい。セッション向きの人と、バンド向きの人は少し違います。

セッションは、その場で音を合わせる楽しさがあります。バンドは、同じメンバーで積み重ねていく楽しさがあります。

どちらが上ということではありません。

どちらも音楽の楽しみ方です。

ただ、バンドにするなら、最初から「長く続けること」を前提にしすぎない方がいいのかもしれません。

まずは一回、本番まで。まずは半年だけ。まずはこのイベントまで。

そんなふうに、期間限定で始める方が、大人の音楽活動には合っている気がします。

「このメンバーでずっとやっていかなければならない」と思うと重くなることも(笑)。でも「まずはこのライブまで一緒にやってみましょう」なら、少し気楽に始められます。

そして終わったあとに、続けたければ続ければいい。一区切りにしてもいい。別の形でまた集まってもいい。

無理に続けることだけが正解ではありません。

むしろ、きれいに終われることも、大人の音楽活動ではとても大切だと思います。

コミュニティでは、事前に曲を決めるセッションを大切にしています。これは、いろいろな人が無理なく参加できる土台のようなものです。

一方で、バンドとして演奏する楽しさもあります。同じメンバーで音を作り、本番に向かっていく楽しさは、セッションとはまた違います。

だからこそ、これからはその中間のような場もアリだと考えています。

いきなり本格的なバンドを組むのではなく、まずは人と出会い、音を出し、相性を見てみる。続けられそうなら、期間限定のバンドとして一つの本番を目指してみる。

そのくらいの軽やかさがあっていいと思います。

バンドは楽しいです。
でも、バンドは人間関係でもあります。

だから、うまくいかないことがあって当然です。

合わなかったから失敗、脱退したから失敗、解散したから失敗、ということではありません。

大切なのは、音楽を嫌いにならないことです。人間関係で疲れ切って、せっかく好きだった音楽から離れてしまうことの方が、ずっともったいない。

セッションで楽しめるなら、それも立派な音楽活動です。
バンドに挑戦してみたいなら、期間限定で始めてみればいい。
合わなければ、また別の形に戻ればいい。

大人になってからの音楽は、続けること自体に意味があります。

無理なく、気持ちよく、でも少しだけ新しいことにも踏み出せる。

そんな距離感を大切にしながら、これからもいろいろな音楽の場を作っていければと思っています。