『このコミュニティの形が少しずつ変わってきた話』

さいたま~都内を中心に、バンド形式のコピー・セッションやライブイベントを開催するコミュニティ「ライブワゴンミュージック」です。

このコミュニティの活動は、もともとセッションを大きな軸として動いてきました。そこに魅力を感じて集まってくださった方も多いと思いますし、実際、初対面同士でも音を合わせられること、いろいろな人と気軽に関われること、自分のやりたい曲を持ち寄ってその場限りの音楽を楽しめることには、セッションならではの面白さがあります。今でもその価値は変わっていません。

ただ、活動を続けていく中で、少しずつ見えてきたものもありました。単発で集まって演奏する楽しさとは別に、同じメンバーで一定期間取り組み、少しずつ形にしていくことに魅力を感じる人がいること。人前で演奏するという目標を持つことで、普段とは違う集中力ややりがいが生まれること。そして、そこに向かう過程そのものに、その人なりの成長や充実感が宿ることです。

最近、このコミュニティの中で、セッション中心だった流れに加えて、バンド単位での演奏や、ある程度の期間をかけて取り組む活動の比重が少しずつ増えてきているのは、そうした流れの中で自然に出てきた変化だと思っています。何かを急に切り替えたというより、活動を続けてきた結果として、こちらの面白さや可能性も無視できなくなってきた、という方が近いかもしれません。

自分の価値観というのは、芯が通っているようでいて、意外と曖昧なところもあります。これは運営をしていても感じることです。自分ではこういう場を作りたいと思っていても、実際に人が集まり、音を出し、関係が生まれていく中で、「本当に面白いのはここかもしれない」とか、「こちらの方が今の自分たちにはしっくりくるかもしれない」と思うことがあります。そう考えると、最初からきれいに言語化された正解を持っていることだけが大事なのではなく、やりながら探していくことにも意味があるのだと思います。

むしろ、自分たちがこれだと思うものを探し続け、その中で少しずつ変化していくことこそが、この活動の面白さなのかもしれません。最初に決めた形に固執するのではなく、その時々で何が自然で、何が面白くて、何がこの場に合っているのかを見ながら少しずつ育っていく。そういう柔らかさを持てることは、このコミュニティにとって大事なことだと感じています。

もちろん、だからといってセッションの価値が薄れたわけではありません。気軽に参加できること、いろいろな人と出会えること、演奏のハードルを必要以上に上げないこと、その場ならではの偶然を楽しめること。そうした魅力は、これからもこのコミュニティの大切な土台であり続けると思います。その上で、もう少し深く関わりたい人、同じメンバーで取り組んでみたい人、ひとつの形を作ってみたい人に向けて、バンド単位での活動や発表の機会も増えてきた。今は、そんなふうに幅が広がってきている段階なのだと思います。

ひとつの完成形に向かって一直線に進むというより、その都度、自分たちなりに確かめながら進んでいく。少しやってみて、違えばまた考える。しっくりきたら、その方向を少し育ててみる。そういう繰り返しの中で、このコミュニティも少しずつ輪郭を持ってきたように思います。

たぶん、この先もまた変わっていくのだと思います。でもそれは、軸がないということではなく、むしろ軸があるからこそ、その時々に合った形を探し続けられるということなのかもしれません。固定された正解を守ることよりも、自分たちにとって本当に意味のある形を見つけていくこと。その過程ごと楽しめることが、この活動のいちばん面白いところなのだと思っています。