『TMCを終えて、改めて伝えたいこと。』
さいたま~都内を中心に、バンド形式のコピー・セッションやライブイベントを開催するコミュニティ「ライブワゴンミュージック」です。
2か月にわたって開催された「TMC(タイニーミュージックコンサート)」には、13組のバンドが出演しました。そのうち7組は、このイベントをきっかけに新たに結成されたグループです。
バンドができたタイミングもさまざまで、ほとんどリハーサルの時間が取れなかったり、途中でメンバー交代があったりと、決して順風満帆とはいえない状況も多くあったと思います。そうした中でもなんとか演奏までこぎつけたグループの皆さん、本当にお疲れさまでした。
当日、そんなバンドがステージに立ち、お客さんが笑顔で盛り上がる姿を見ると、「次もこのメンバーでやりたい」と感じるのはごく自然なことだと思います。むしろ、それこそが音楽の持つ力なのだと思います。
ただ、最終的に今回生まれた7組のうち、どれだけのバンドがこの先も続いていくかというと、正直多くないかもしれません。でもそれは決して悲しいことではありません。
TMCというイベントにはもともと、「期間限定でバンドを組んでみよう」というコンセプトがありました。
誰かと趣味が完全に一致することはなかなかありません。邦楽が好きな自分もいれば、洋楽やジャズ、ロックが好きな自分もいる。それをすべて同じメンバーで実現するのはやはり難しい。
でも、ジャンルや「好き」の粒を細かく分けて考えてみれば、それぞれに合った仲間が見つかる可能性は高くなる。そんな出会いを促す場こそが、TMCであり、このコミュニティだと考えています。
もちろん、今回結成されたバンドがそのまま続くのも素敵なことです。ただ、それが“理想の形”というわけではありません。一度きりの演奏にこそ美しさがある、という考え方もあります。
「今回は洋楽ハードロックに挑戦したから、次はJ-POPをやってみたいな。誰か一緒にやらない?」そんなふうに、このコミュニティの中で軽やかに音楽を楽しんでもらえたらうれしいです。さまざまな価値観や考え方を持った個人が集まり、このコミュニティは成り立っています。
大きな枠の中で、たくさんの人とゆるくつながって、「音楽をやりたい」と思ったときに、すぐ動ける環境。そんな場所を、これからもつくっていけたらと思っています。
TMCは、できれば今後も続けていきたいと考えています。ただバンドが集まってライブをするだけの場ではなく、いろいろな人と、いろいろな音楽に出会える場として。
そうした関わり方こそ、この年齢になった今だからこそできる、大人の音楽の楽しみ方なのかもしれません。
今回限りで終わるバンドもあるかもしれませんが、それは決して寂しい別れではない。ひとつの夢が叶って、また次の夢に向かっていく。そんな前向きな感覚で、これからも音楽と関わっていけたら素敵だなと思います。